公正証書にした離婚協議書は、約束した金員の支払いが滞納すると確定判決なしに、強制執行手続きが可能となります。
これを公正証書にしていなければ養育費・慰謝料・財産分与の支払などを債務者が滞納しても、裁判所の判決を得る必要があります。
離婚後の一番の不安は、やはり養育費の支払い、財産分与の処理、慰謝料の支払いを最後までしてくれるかという金銭面が主となるでしょう。
また、離婚後の養育費の支払い率が20%を切る現在の状況においては、大切なお子様のためにも離婚後の生活に苦しまないためにも、必ず公正証書に養育費の取り決めはしなければなりません。
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公正証書の内容
公正証書(離婚に関する)を離婚給付等契約公正証書といいますが、そこに離婚の合意、親権者と監護権者の規定、子供の養育費、離婚慰謝料、財産分与、面会交流、住所変更等の通知義務、清算条項、強制執行認諾の各条項が入ります。
離婚の際は具体的に細かく決めなければならないことがたくさんあります。
離婚後に、新しい生活をスタートさせた後も、様々な問題や悩みが発生する可能性があります。
口約束だけで離婚してしまい、新しい彼女が出来てから振り込まれなくなった、養育費の支払いがもう3ヶ月も滞納している、連絡がとれず、行方不明になった、最初はお金が振り込まれていたが、段々と振り込まれなくなってしまった等の問題が生じることが往々にしてあります。
離婚前に、公正証書を作成することにより、約束はまず守られます。
離婚で公正証書を作成する意義
- 証拠
離婚公正証書は、離婚協議書と比較して証拠力が強くなっています。
契約書や領収書は後から偽造がなされることもたびたび生じ、私文書は証拠力が低いといわれますが、公正証書は公証人が介在したた公文書です。公正証書は、公証人が作成した公文書なので証拠力が高く、信頼性があります。
まず、偽造される可能性はないと言ってよいでしょう。 - 強制執行(執行性)
離婚公正証書(強制執行認諾約款付)は執行力を有しています。執行力は、裁判所を通じて給料や預金などの差押えができることをいいます。
養育費・慰謝料・財産分与などの支払いが滞納すると口約束や離婚協議書であれば裁判を起こして勝訴判決を得てからでないとと給料や預金などの差押えができません。 - 安全性
公正証書は安全性が高いです。
公正証書を作成する場合は、公証人が内容が法律等に違反していないか、公正証書が法律に違反していたり、公序良俗に反して無効にならないかをチェックします。
一方で、私文書は、法律に反しているなどの事情で裁判で無効とされる場合もあります。
また、公正証書を作成する事により、強制執行できる範囲を限定して、義務の明確化による安心も備えています。
公正証書は、原本を公証役場で原則20年間保管しますので、離婚公正証書を作成した後、公正証書の正本・謄本を紛失・毀損してしまった場合でも謄本の再発行が可能です。
公証役場によって、公正証書はしっかりと保管されています。