年金分割には必ず知っておいてほしい注意点がありますので、以下に記載します。
年金分割を受け取れるのは、離婚時ではなく、自分自身が年金を受け取れるようになってからとなります。(自分自身が年金を受給できる年齢(原則65歳)であり、国民年金の加入期間は最低25年が必要です。)
そして、夫の厚生年金に加入期間を、妻が自分の年金加入期間に足すようなこともできません。
これも勘違いが多いのですが、年金分割されるのは厚生年金であって、国民年金は年金分割の対象外です。
よって、自営業しか営んだ事がない夫の妻は年金の分割は受けられません。
また、年金分割できるのは婚姻期間中の厚生年金のみで、婚姻期間中以外に夫が支払った保険料は、年金分割の対象外となります。
年金分割の割合は夫婦間の協議で決められ、50%分割されるわけではありません。
年金分割の割合の合意ができなければ訴訟によって決着をつけることになります。
年金分割をすることにより、結果的に損をしてしまうこともあります。
年金分割を計算する時には、
- 厚生年金に加入していた期間
- 給料の額
をみて、夫か妻のどちらか多いほうが年金を分けることになります。
妻が扶養(第3号被保険者である期間のこと)されていたような場合は、扶養されていた妻は年金分割をすることにより得をすることになります。
一方、共働きであった夫婦であり、妻(夫)の方が給料も多く得ていたような場合は、お互いの厚生年金の加入期間を合わせて検討する必要があります。
厚生年金加入期間と給料額を鑑みて、妻(夫)は年金分割をすることにより損をする可能性もでてきます。
目次
年金分割の関連ページ
年金分割の概要
年金分割が実施されるまでは、年金は個人のものであるという考え方が強くあり離婚により女性は不利な生活状況に陥ることがありました。
年金分割の実施によって、専業主婦では、夫が払った保険料の一部(最大で50%)を妻が払ったものとして、将来の年金額が計算されます。共稼ぎの夫婦では、両者をあわせた額を分割し、半分で計算されます。
年金分割は主に立場が弱かった専業主婦を救済するという趣旨が含まれており、年金分割実施によって専業主婦は多く救済されてきています。
もっとも、年金分割は、厚生年金と共済年金だけが対象となり基礎年金・企業年金は対象外であることを注意しておいて下さい。
その他、年金分割には注意点も多いので、年金分割の注意点のページもご参照下さい。
年金分割には下記の4要件を全て満たす必要があります。
- 婚姻していること(内縁でも対象となります。)
- 離婚が平成19年4月1日以降であること(19年3月31日以前に離婚をしていれば分割年金の対象外です。)
- 婚姻期間中に、夫妻一方が厚生年金か共済年金に加入し、又は加入していた期間(第2号被保険者(厚生年金・共済年金)の期間)があること
- 夫が厚生年金に加入している同じ時期(最低1月以上)に、婚姻していること
※自営業の方は国民年金に加入しているので、第1号被保険者となり年金分割の対象にはなりません。(第2号被保険者(厚生年金・共済年金)の期間があれば年金分割の対象となります。)